パレットにウィザー&ニュートンの白、紫、青、緑、黄色、赤。黒の代わりにウルトラマリンブリー、ディオキサジンヴァイオレット、フタログリーンなど。
イーゼルにかけた白いキャンパスは鏡のように自分の心を映し出してくれる。また、どんなぶつかりかたをしても受け止めてくれる。
アタリをえがき影から色をつけていく。どろどろとした黒い内側の部分の膿が色を重ねていくごと表にでてくるようだ。
幼少期はよく絵を描く子だった。中学までは不定期でも数時間は絵と自分の内面と向き合っていた。ある時から恒常的に絵を書くのはやめてしまっているので久しぶりの筆の感触や絵の具の匂いはとても懐かしい気持ちになり脳の奥がずきずきいたむ。
深い海をキャンパスに描く、対照的な赤、少女、灯台。このキャンパスの絵は書き始めてから半年が経っている。完成形はみえているが色をどんどん重ねては深いところに潜り込んでしまう。この蒼は、見られたくない。
ねえ、いま、すごいわがままを言いたい。わたしは表むき大人なのに。踏み入れられたくない領域の中で苦しいなと思う更、壁をあくして作品に投影するこの行為は唯一、正しい。
白いキャンパスは夜の海に代わりわたしの息は灯台の元に沈む。色々ちょっと待っててね。